介護職員処遇改善加算とは?改正のポイントをわかりやすく解説!

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介護施設では、介護職員以外に看護師や理学療法士、作業療法士などさまざまな職種が働いています。
その中で介護職員は給与面で厳しい状況があり、他の職種と比較して低賃金となっています。
そのため、処遇の改善が急務であり「介護職員処遇改善加算」という制度が作られました。
ここでは、介護職員処遇改善加算や交付金について徹底解説していきます。

 

目次

▷介護職員遇改善加算とは?

▷処遇改善加算の適用される職種一覧

▷処遇改善の算定要件とは?

▷介護職員処遇改善加算の5つの区分

▷介護職員処遇改善加算の計算方法について

▷特定処遇改善加算との違いについて

▷2021年の改正で変わったこととは?

▷処遇改善の注意点

▷まとめ

 

 

介護職員処遇改善加算とは?

介護職員処遇改善加算は、介護サービスを直接行っている介護職員の環境を整え、賃金を改善するために、介護報酬を加算して支給する制度です。
これによって、介護業界の深刻な人材不足の解消を図っています。

今後、団塊世代が後期高齢者となり介護職の需要はさらに高まることが予想されています。
しかし、肉体労働な上に低賃金ということから、転職者も多くなかなか定着しないのが現状です。
そのため、介護職を目指す人を増やすとともに、現在働いている介護職の定着を図ることも重要なのです。

介護職員処遇改善加算を申請するためには、5区分に設定されたいずれかの要件を満たしていることが必要です。
この要件を満たしている介護施設で働いている介護職員は、区分ごとの加算を受け取ることができます。

この制度によって給与アップだけでなく、仕事に対してやりがいを感じられる職場づくりも推進されるようになりました。
この制度を利用するためには、事業者は都道府県などに加算を届け、国保連に加算請求を行わなくてはなりません。
現在では、介護職員の多くが介護職員処遇改善加算を取得することができています。

 

処遇改善加算の適用される職種一覧

介護職員処遇改善加算が適用される職種は幅広くありますが、職種によって必ずしも適用されるものではありません。
加算が適用されるには、事業所が加算対象になっていることが前提です。

また同じ職種でも、加算対象となる業務に携わっていない場合は加算の対象にはなりません。
逆に介護職以外でも、介護に直接関わって業務を行っている場合は加算対象となることもあります。

介護を直接行う業務についていても、無資格では対象となりません。
ここでは加算対象の事業所であることを前提に、一般的に加算対象となる介護職員についてご紹介します。

 

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、従来のホームヘルパー2級と同等の資格です。
資格を取得することで利用者さんの生活支援と、身体介護を行うための基本的なスキルを身に着けることができます。

 

介護福祉実務者研修

介護福祉実務者研修も、資格を取得することで利用者さんの生活支援と身体介護が可能となる資格です。
この資格を取得し実務経験を3年積むことで、国家資格である介護福祉士の国家試験受験資格を得ることができます。

 

介護福祉士

介護福祉士は、介護職の中で唯一の国家資格です。
介護福祉士は、利用者さんの生活支援や身体介護に携わるほか、専門的な知識や技術をもって医師や看護師と連携を取りながら介護を行うことも求められており、重要性の高い資格となっています。

 

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処遇改善の算定要件とは?

介護職員処遇改善加算を取得するためには、事業所が算定要件を満たしていることが必要です。
この算定要件には段階があります。
この段階を決めるために、以下のキャリアパス要件と、職場環境等要件があります。

 

キャリアパス要件

以下の3つが要件となります。

Ⅰ 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金形態の整備をすること
Ⅱ 資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
Ⅲ 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期的に昇給を判定する仕組みを設けること

 

職場環境等要件

賃金改善以外で、処遇改善(職場環境の改善など)の取り組みを実施するため、次の内容のうち1つ以上を満たしていることが必要です。

内容は入職促進に向けた取り組みや、資質の向上・キャリアアップに向けた支援、両立支援や多様な働き方の推進、心身の健康管理、生産性向上のための業務改善の取り組み、やりがいや働きがいの形成などとなります。
これらの項目は、計画の期間中に介護職員が全て周知されていなくてはなりません。

 

介護職員処遇改善加算の5つの区分

上記の要件に基づき、加算の段階が全5区分に分けられます。
それぞれの加算の算定要件についてご説明します。

なお、いずれの場合も以下の要件が必要となりますのでご注意ください。

・介護職員処遇改善計画書の作成・提出
・賃金改善等の処遇改善について計画書を作成し、職員に周知徹底する
・介護職員処遇改善加算によって算定された賃金に改善する
・介護職員処遇改善実績報告書の作成・提出
・労働保険の加入、労働保険料の納付
・労働安全衛生法、労働基準法、雇用保険法、労働災害補償保険法、最低賃金法などの法令を守っていること

 

『介護職員処遇改善加算Ⅰ』の算定要件

キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの全てに加え、職場環境等要件を満たすことで取得することが可能です。
これらの要件をすべて満たすことによって、介護職員1人当たり月額37000円相当を受け取ることが可能になります。

 

『介護職員処遇改善加算Ⅱ』の算定要件

キャリアパス要件Ⅰ及びⅡに加えて、職場環境等要件を満たすことで取得が可能です。
これらの要件を満たすことによって、介護職員1人当たり月額27000円相当を受け取ることが可能になります。

 

『介護職員処遇改善加算Ⅲ』の算定要件

キャリアパス要件ⅠまたはⅡに加えて、職場環境等要件を満たすことで取得が可能です。
これらの要件を満たすことによって、介護職員1人当たり月額15000円相当を受け取ることが可能になります。

 

『介護職員処遇改善加算Ⅳ』の算定要件

キャリアパス要件ⅠまたはⅡ、または職場環境等要件のいずれかを満たすことで取得が可能です。

これらの要件を満たすことによって、介護職員1人当たり月額13500円相当を受け取ることが可能になります。

 

『介護職員処遇改善加算Ⅴ』の算定要件

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、職場環境等要件のいずれも満たしていなくても、申請することで介護職員1人当たり月額12000円相当を受け取ることが可能になります。

※参考:厚生労働省HPより「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに(リーフレット)」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000199136.pdf

 

 

介護職員処遇改善加算の計算方法について

介護職員処遇改善加算を計算する際は、処遇改善加算を含んだ1月の「総単位数」と「総額」を求めなくてはなりません。

1月の総単位数を求める場合は、以下の計算式で算出することが可能です。

総単位数=介護給付単位数(基本サービス単位数)+各種加算・減算×介護職員処遇加算率

 

介護職員処遇改善加算の総額は、総単位数×地域区分から求めることができます。

単位数と算定額を算出するためには、基本的な知識を理解する必要があります。

基本的な知識を身につけることで、複雑に思われがちな計算もスムーズに算出することが可能です。

 

介護職員処遇改善加算を計算するためには、まず加算率を乗算します。

算出された総単位数に加算率を乗算する際は、1単位未満の単位を四捨五入します。

金額へ換算する場合は、処遇改善加算の総単位数に地域区分を盛り込むことで算出が可能です。

 

介護給付単位数は、サービスの区分や種別ごとに、全国で統一された基本単位です。

利用者さんの要介護度や所有時間により単位が設定されています。

各種加算や減算、地域区分を差し引いたサービスの基本報酬となっています。

 

加算は職場環境の改善を行った場合や、利用者さんに対する質の高いサービスを提供した場合に評価される算定のことです。

また、減算はサービス提供の不足や、基準の要件を満たしていない場合に差し引かれるマイナスの算定になります。

介護職員処遇改善加算率は、処遇改善加算を取得するために定められた介護サービスごとの乗率となっており、

全介護サービスで統一されていない点に注意が必要です。

 

 

特定処遇改善加算との違いについて

特定処遇改善加算は、勤続10年以上の介護福祉士に対して、月8万円相当の処遇改善を実施するという国の方針に基づき作られました。

介護職員が長年勤務しても給与がアップしないことを改善するために、2019年に新設された制度です。

 

介護職員処遇改善加算は介護職員全体に支払われますが、特定処遇改善加算は経験や技能のある介護職員が対象となります。

特定処遇改善加算は、介護職員処遇改善加算に上乗せして支払われます。

 

特定処遇改善加算は、勤続年数が10年以上の介護福祉士に支払われるという指針がありますが、10年以上勤務は必須事項ではありません。

他の事業所や法人において積んだ経験やスキルが評価された場合は、同じ職場で10年以上働いていなくても支給されることがあります。

 

また、指針の対象となる職員がいない場合は事業所の裁量によって他の介護職員が加算の対象となることもあります。

その場合介護職員処遇改善加算と違い、介護福祉士以外の職種が対象となることもあるようです。

 

 

2021年の改正で変わったこととは?

2012年より開始された介護職員処遇改善加算では、たびたび改正が行われています。

2021年の改正では、職場環境等要件に見直しと、職員間の格差是正のための見直しが行われました。

 

職場環境等要件は、介護職員処遇改善加算の算定要件の1つで、職場環境を整えることで給付金を増やすことが可能です。

職員の離職防止や定着促進を図る取り組みを高め、職場環境改善の取り組みがより実効性が高くなるよう改正されました。

 

2021年の改正前は、「リーダー級グループ2以上:そのほかの介護士グループ1:介護士以外の職種0.5以下」という基準で給付金が配分されていました。

その基準では、リーダー級グループの取り分が多く職員間で格差が発生しています。

そこで「リーダー級グループ2以上」を「その他の介護士グループより高くすること」と改正し、職員間の格差を改善しました。

 

 

処遇改善の注意点

介護職員処遇改善加算について注意しなくてはならない点があります。
令和4年3月31日に、介護職員処遇改善加算Ⅳ・Ⅴの区分は当てはまる事業所が少ないことから廃止される予定です。
また、計画の期間中に職場環境等要件の中から1つを、必ず取り組むことが必要になります。

介護職員処遇改善加算を算定した場合は賃金改善を行い、取得する加算の区分に応じて職場環境等要件やキャリアパス要件を満たさなくてはなりません。
しかし賃金改善を実施するためにかかる費用には、それらの要件を満たすための費用が含まれていないため、注意が必要です。

 

 

まとめ

ここでは介護職員処遇改善加算について解説してきました。
少子高齢化が進む中、介護職は需要の高い仕事ですが、介護職の給与は一般的な企業に比べて低いのが現状です。
今後介護の人材需要は増加する見込みから、処遇改善は今後も急務として行われていくことが予想されるでしょう。
しかし、対象外の事業所もありますから、しっかりと見極めて就職することをおすすめします。

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