ケアマネージャー(介護支援専門員)の年収・給与はどのくらい?働き方別・他業種との比較
介護職でキャリアアップするために、ケアマネージャーを目指している方も多いのではないでしょうか。ケアマネージャーは介護支援専門員とも呼ばれ、高齢者や障害者が自立して生活できるように支援する、人気の高い職種です。
ケアマネージャーを目指す理由として、給与アップを目的としている方もいるでしょう。ケアマネージャーになると、給与はどのくらいもらえるようになるのでしょうか。介護職にはさまざまな業種がありますので、それらとの比較や、ケアマネージャーとしての働き方別に詳しくご紹介していきます。
◇目次
ケアマネージャーの平均年収・給与
ケアマネージャーは、平均的にどのくらいの給与を支給されているのでしょうか。厚生労働省の「平成30年度介護従事者処遇状況調査結果」によると、ケアマネージャーの常勤で350,320円となっています。よって平均年収は約420万円となります。非常勤の場合では、229,050円が平均給与です。
平均給与は基本給に手当と一時金(4~9月支給金額の1/6)を足して算出されます。ケアマネージャーの基本給は平成30年度で217,690円となっており、前年度よりも1,960円増加しています。高齢化社会が進む現代において需要の高い職種のため、給与も増加傾向にあるようです。
介護の他業種と比較したケアマネージャーの年収・給与
介護施設には、ケアマネージャー以外にもさまざまな職種の人が働いていますが、給料にはどのくらいの違いがあるのでしょうか。
「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」から他職種との給料を比較してみましょう。
(出典:厚労省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/index.html)
介護職員の平均基本給は18万1220円で、平均月給は30万970円。
生活相談員、支援相談員の平均基本給は21万570円で、平均月給は32万1080円。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、機能訓練指導員の平均基本給は22万7070円で、平均月給は34万4110円。
事務職員の平均基本給は20万8330円で、平均月給が30万7170円。
管理栄養士、栄養士の平均基本給は20万6770円で、平均月給が30万9280円。
調理員の平均基本給は17万6120円で、平均月給が25万4450円。
看護職員の平均基本給は23万4150円で、平均月給が37万2070円となっています。
ケアマネージャーの平均月給が21万7690円で、平均月給が35万320円ですから、介護施設で働く職種の中では、看護職員の次に給与が高い職業です。
介護職員は、他職種に比べて給与金額が低いと言われていますが、ケアマネージャーまでキャリアアップすることで高給与が望めます。
今後もケアマネージャーの年収あがるのか?
ケアマネージャーを含め、介護職員は今後需要が高まっていくことが予想されます。少子高齢化によって、家族による介護が困難な状態が今後も続くことが予想されているからです。そのため、国は介護職員の給料を上げ、人員を確保し定着させるための政策を行っています。
その一つが、「キャリアパス要件」や「職場環境要件」などの条件を満たした介護施設や事業所に、職員の給料を上げるための報酬を加算する「介護職員殊遇改善加算」です。要件を満たしているほど加算金額が多くなる制度です。
また「介護職員等特定処遇改善加算」では、勤続10年以上の介護福祉士を対象に月額8万円相当の処遇改善を行い、経験のある介護職員の処遇改善をはかっています。このような政策が行われていることから、ケアマネージャーの年収は今後も上がるでしょう。
そもそもケアマネージャーはどういう仕事?
ケアマネージャーの仕事は、介護を必要とする人に介護保険制度に基づいたケアマネジメントを行うことです。利用者さんやその家族、サービス提供者と面談を行い、ケアプランを作成します。
また、利用者さんが介護認定を受けられるよう、要介護認定申請の代行も行います。利用者さんの自己負担料と、介護報酬に関するコストマネジメントもケアマネージャーが行っています。
事業所に介護給付金が支払われるための給付管理や、介護事業者との会議を行うための連絡などもケアマネージャーの仕事です。
ケアマネージャーについて詳しくはこちら
ケアマネージャー(介護支援専門員)とは?仕事内容や選び方をご紹介
ケアマネージャーの仕事内容
仕事内容①:ケアプランの作成
ケアマネージャーの仕事の一つがケアプランの作成です。ケアプランは介護度に基づいて、介護サービスの頻度や方針を計画書にしたものです。ケアマネージャーは、介護を必要とする利用者さんから状況や要望を聞き出し、生活における目標を設定、利用プランの作成を行います。
ケアプランの原案をもとに、利用者さんや利用者家族と話し合い、同意が得られたらサービス担当者会議を開催。サービス担当者会議にて、医療従事者や介護関係者も参加し、利用者さんや利用者家族とケアプランについて話し合い、ケアプランを完成させます。
仕事内容②:要介護認定申請の代行や介護保険の給付管理
利用者さんが介護サービスを受けるためには、要介護認定が必要です。自治体に申請し、審査を受けることが必要になりますが、その際ケアマネージャーが利用者さんや利用者家族に代行して申請を行うこともあります。
また、介護保険の給付管理もケアマネージャーの仕事です。施設や事業所で介護サービスを提供する場合、国民健康保険団体連合会に介護給付金を請求する必要があります。利用者さんに対しては自己負担料と、介護報酬のコストマネジメントを行います。
仕事内容③:利用者や介護事業者との連絡・調整
ケアマネージャーは、作成したケアプランの目標が達成できるよう、サービス提供者である介護事業者と連絡を取り調整を行います。お互いに納得するケアプランを作成するため、利用者やその家族にもケアプランに対する意見をもらうよう連絡、調整を行います。
サービス担当者会議を行う際は、日程を調整するために関係各所に連絡が必要です。迅速に問題が解決できるよう、利用者さんや利用者家族、サービス提供者と積極的に連絡を取り情報を共有することが求められます。
※ケアマネージャーの詳しい仕事内容についてはこちら
https://creatework.jp/column/column-1487055
働き方別ケアマネージャーの給与
ケアマネージャーの給与は介護職の中では高い方ですが、働き方によって給料は変わってきます。
ケアマネージャーとして働く場合は大きく分けて二通りあります。
一つは「居宅」、もう一つが「施設」です。
また、常勤だけでなくパートとして働く方法もあります。
介護職の中では高めの給与であるケアマネージャーですが、他業種に比べると給与は低い方です。
できることなら、少しでも高めの給与を望みたいでしょう。
勤務先や雇用形態の違いによって、給与はどのような違いがあるのでしょうか?
詳しくご紹介します。
–居宅の場合
居宅介護支援事業所で働くケアマネージャーを「居宅ケアマネージャー」と言います。
居宅ケアマネージャーは、地域に住む利用者さんを対象として、面談やアセスメントを行います。
基本的に仕事は日勤のみのため、夜勤手当などはありません。
そのため、施設ケアマネージャーに比べて給与は低めです。
居宅ケアマネージャーは事業所に属せず、独立して働く場合もあります。
独立型のケアマネージャーだと、居宅の場合でも年収をアップさせることが可能です。
–施設の場合
「施設ケアマネージャー」は、高齢者施設や障害者施設に勤務するケアマネージャーです。
入居する高齢者や障害者の方々のアセスメントを行っています。
施設で勤務するケアマネージャーは、ケアマネージャーの仕事だけでなく、介護職員として業務に携わっていることも多くあります。
業務量が多くなるため、残業が発生することもあり、その場合は残業手当が支給されます。
また、夜勤業務を行う場合でも夜勤手当が支給されます。
夜勤手当は施設によって異なりますが、4000円~8000円が相場になるため、月に数回夜勤業務がある施設ケアマネージャーは、居宅ケアマネージャーよりも高給与の傾向にあります。
–パートの場合
ケアマネージャーで働く場合、常勤として雇用されるだけではなく非常勤やパートという選択肢もあります。
「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、ケアマネージャーのパートで働いた場合の平均的な時給は1280円になります。
(出典:厚労省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/index.html)
ケアマネージャーの時給は、他の介護職員と比較して高い方です。平均月給も12万2500円と高めです。
ケアマネージャーの賃金はパートでも前年度よりアップしており、将来性のある職種と言えるでしょう。
育児や介護などによってフルタイムで働くのが困難な場合でも、ケアマネージャーは短時間で高収入が得られるため、ケアマネージャーの資格を取得するメリットは大いにあります。
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ケアマネージャーが給与アップするためには?
ケアマネージャーは介護職の中でも給与は高めですが、さらに給与をアップさせるためにはどのような方法があるのでしょうか。
一番簡単な方法は、経験年数による昇給です。ケアマネージャーも勤続年数に応じて昇給があります。
1年で数千円ずつではありますが、ゆるやかに上昇するため勤続年数が長くなるほど給与はアップします。
また、役職につくことで大きく給与アップを望むことができます。
役職につくと役職手当が付きますし、基本給も同時に上がります。
そのため短期間で大きな給与アップが見込まれるでしょう。業務に対する責任や仕事量も増えますが、その分経験値も大きく増やすことができるでしょう。
ケアマネージャーとして独立することでも収入アップが可能です。
独立型ケアマネージャーの場合、事業所の運営状況に左右されず収入を得ることができます。
ケアマネージャーの資格にはどのようなものがあるの?
ケアマネージャーとして働くためには、「介護支援専門員」という各都道府県が認定する公的な資格が必要です。
ケアマネージャーは公的資格のため、国家資格のような法律上の規制はありません。
しかし、介護資格の中では、国家資格である介護福祉士よりも難易度が高いと言われている資格です。
介護支援専門員の資格を取るためには、受験資格が必要になります。受験資格の一つが特定の国家資格です。
介護福祉士の他にも、社会福祉士、精神保健福祉士、医師や歯科医師、薬剤師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士などの国家資格で通算5年以上の実務経験があり、従事した日数が900日以上で受験資格を得ることができます。
また、これらの国家資格を保有していない場合でも、支援相談員や生活相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として通算5年以上の従事期間があり、900日以上の従事日数があれば受験することが可能です。
そのため、無資格・未経験でケアマネを目指すためには介護福祉士になるために、介護初任者研修を取得し介護現場で3年以上の実務経験を積み、介護福祉士実務者研修を修了。介護福祉士として5年の実務経験が必須となるため合計8年間が必要となります。
受験する際は実務経験証明書が必要となるため、勤務している施設の代表者などに発行してもらわなくてはなりません。
ケアマネジャーの今後とは?将来性はあるのか?
ケアマネージャーの資格取得は難関とされていますが、国が介護支援専門員実務研修受講試験のハードルを上げたことも関係しています。2017年までは、医療や介護に関する資格がなくても、介護の実務経験を10年以上積むことでケアマネージャーの試験を受験することが可能でした。
しかしケアマネージャーの質を向上させるため、2018年度から特定の資格や経験が求められるように見直しがされました。「ケアマネージャー不要論」が厚生労働省で議論されたからです。廃止にはなりませんでしたが、研修内容の見直しや試験内容が難しくなり、年々合格率は低下する傾向にあります。介護業界において需要の高い業種であることから、将来的にもケアマネージャーの資格がなくなることは考えにくいでしょう。
まとめ
ケアマネージャー給与についてご紹介してきました。
ケアマネージャーは居宅や施設での働き方や、パートとしての働き方によって給与も変わってきます。介護職員の中では給与が高い方ですが、さらに給与アップさせる方法もあります。
今後、団塊世代が後期高齢者となる「2025年問題」の影響もあり、介護を必要とする人はさらに増えるでしょう。
その点から、ケアマネージャーは将来性のある職業といえます。
介護福祉士の資格を取得し、実務経験を積むことが必須条件となりますが、ケアマネージャーは高給与を得ることができます。
他業種に比べると給与は決して高くない介護職ですが、キャリアアップの道の一つとして、ケアマネージャーとして働くという選択肢があります。
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