介護職の離職率改善にセルフ・キャリアドッグがオススメの理由

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職場の人事や採用をご担当している方の中には、

・人材の採用

・人材の育成

・離職率の抑制

等、様々な人材にまつわるお悩みをお持ちの方が多いのではないでしょうか?

 

人材不足が続く日本の中でも特に介護職は、2025年度末には245万人介護人材が必要だと推計されており、介護職の採用・育成に携わる介護施設では人材の採用・育成に頭を抱えるご担当者の方も多いハズです。

参照:介護人材確保に向けた取り組み

 

この介護職の人材不足を解消するため、人材紹介や人材派遣などの人材サービス、資格取得や研修等の教育サービス等、課題に合わせた様々なサービスがあり、多くの介護施設でそういったサービスを導入されております。

 

ですが、人材紹介や研修サービスは、その一つ一つを単発で考えると、対症療法的な課題解決にしかならないことが多く、根本的な問題が解決しないケースも多く耳にします。

 

そんな人材課題に頭を悩ませている介護施設の人事ご担当の方に、是非お伝えさせていただきたいのが「セルフ・キャリアドッグ」です。

 

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◇目次

・セルフ・キャリアドックとは?

・介護施設の現状と課題

・セルフ・キャリアドック導入イメージ

・キャリアコンサルティングについて

・キャリアコンサルタントとは

・セルフ・キャリアドッグを導入する際の課題


 

セルフキャリアドックとは?

セルフ・キャリアドックとは、従業員のキャリア形成を促進・支援することを目的とした総合的な取り組み・仕組みのことです。

具体的には、定期的なキャリアコンサルティングと、キャリア研修を組み合わせて行うのが一般的です。

 

セルフ・キャリアドックが適切に実施されることで、従業員にとってはモチベーションの向上や仕事を通じた継続的な成長につながり、企業にとっては人材の定着や職員の意識向上が組織の活性化に繋がります。

 

つまり、セルフ・キャリアドックを導入し適切に運用することができれば、企業だけでなく従業員にもメリットがある、Win-Winの仕組み作りとなるのです。

 

介護施設の現状と課題

それでは、組織を活性化させるセルフキャリアドックが、「何故介護施設にオススメなのか?」を解説していきます。

 

結論からお伝えすると、介護施設が抱える大きな課題の一つである「人材不足」を、セルフキャリアドックは改善していく力を持っているからです。

 

詳しく解説するにあたって、まずは現在介護業界が抱えている課題を整理していきましょう。

 

介護施設が持つ人材課題は、以下が挙げられます。

  • 人材採用の困難
  • 人材育成の困難
  • 高い離職率
  • 介護業界を取り巻く環境の変化

 

現状、介護サービス需要の高まりに対し、働き手の増加が追いついておらず、需要と供給のバランスが崩れています。

人材採用が困難となった現場では人材育成も難しくなり、高い離職率を招きます。

 

そんな人材業界を取り巻く環境として、介護業界への参入促進が厚労省の政策の一つとして打ち出されています。

参照:介護人材の確保・介護現場の革新

 

具体的には、外国人材の受け入れ環境整備の促進、「介護助手」の導入促進(地域の元気な高齢者を介護助手として介護現場への就職支援)、介護職の魅力発信による人材の確保などが上げられています。

 

また、過去に介護職員として勤務した経験のある人材が、再び介護現場に戻ってくるのを支援する助成金なども拡充しており、高年齢者や外国人人材等、今後も多種多様な人材が介護業界へ参入することが予測されます。

参考:【最大40万円の貸付金!】介護職経験のある方は必見!再就職準備金とは?

 

 

つまり、人材不足がさらに進むと予測される今後の介護業界では、今よりもさらに多種多様な人材を受け入れ、育てていく必要があります。

セルフ・キャリアドックは「多様な人材育成」の手段の一つとして、今後の介護業界の人材課題を解決していく手段として期待されています。

 

セルフ・キャリアドッグ導入イメージ

【通常の企業体制のイメージ】

通常、介護施設に限らず企業の従業員を取り巻く環境としては、「従業員」「人事」「経営層」の3者が上げられます。

この3者がお互いのニーズを伝え合い、相互に作用しあうことで企業活動をさせています。

セルフ・キャリアドック導入前イメージ

セルフキャリアドック導入前イメージ

 

 

 

【セルフ・キャリアドック導入イメージ】

それでは、セルフ・キャリアドックが導入されるとどうなるのでしょうか?

セルフ・キャリアドックはキャリア研修を組み合わせて行う取り組みのことで、上記3者にキャリアコンサルティングを行う「キャリアコンサルタント」が加わります。

キャリアコンサルタントが加わることで組織を活性化

キャリアコンサルタントが加わることで組織を活性化

 

上図のように、「経営層」「人事」「従業員」に「キャリアコンサルタント」を加え、キャリアコンサルティングやキャリア研修を組み合わせて組織を運営する体制を構築することで、組織の活性化を目指すのが「セルフ・キャリアドック」です。

 

セルフ・キャリアドックを導入することで、以下2つの効果が期待されます。

 

①従業員の成長促進・満足度の向上

各従業員が、キャリアの目標を明確化し、仕事の目的意識を高め、計画的な能力開発に取り組むことにより、仕事を通じた継続的な 成長を促し、働くことの満足度の向上につな がります。

 

②従業員の生産性の向上

企業の立場としても、人材の定着や従 業員の意識向上が組織の活性化につながり、生産性の向上への寄与等の効果が期待されます。

 

また、労働者の属性ごとに次のような効果も期待されます。

(1)新卒採用者の定着率向上 仕事への向き合い方・取り組む意欲などのマインドセット、キャリアパスの明示などを通じて、職場への定着や仕事への意欲を高めていくことが期待されます。

(2)育児・介護休業者の職場復帰率向上、仕事と家庭の両立に関わる不安を取り除き、課題解決を支援するとともに、職場復帰プランを作成することにより、職場復帰を円滑に行うことが期待されます。

(3)高年齢層社員の活性化 の職業能力や適性といった個々人が保有する多様な力への自己理解を深めることにより、ライフキャリアの後半戦~セカンドキャリアに向けて、積極的な職業生活を設計 ていくことが期待されます。また、上司や管理職として抱えている課題の解決も支 援していきます。

 

 

 

キャリアコンサルティングについて

キャリアコンサルティングとは、従業員とキャリアコンサルタントが1対1で行う面談のことを指します。

 

キャリアコンサルタントとは、国家資格を保有するキャリア形成支援の専門家で、キャリアコンサルティングを通して従業員の課題を整理し、

  • 能力開発
  • 課題解決

を支援する、一人ひとりのキャリア形成を支援する専門家です。

 

一般的に、キャリアコンサルティングは以下の流れで実施されます。

  1. 自己理解の促進
  2. 仕事理解の促進
  3. 意見・要望等の聴取(場合によって)
  4. キャリアビジョンの策定
  5. キャリア形成上の課題とその対策の明確化
  6. 面談後フォロー

 

 

これにより、企業にとっては以下の3つの機能が期待されます。

  1. 人材保持・引き留め機能
  2. 関係調整・対話促進機能
  3. 意味付与・価値提供機能

これにより従業員の「働き甲斐」「定着率」が向上し、キャリアコンサルティングの導入が組織全体が活性化することになります。

 

また、実際にキャリアコンサルティングを受けた労働者の約9割が、「キャリアコンサルティングが役に立った」と回答しています。

 

キャリアコンサルティングの有効性アンケート

出典:キャリアコンサルティングの活用・活用

 

キャリアコンサルタントとは

キャリアコンサルタントとは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、

  • 国家資格キャリアコンサルタント
  • キャリアコンサルティング技能士(1級・2級)

のいずれかの資格を保持している者を指します。

 

キャリアコンサルタントという国家資格は2016年4月に創設され、個々人の適性や職業経験に応じて職業設計を行い、これに即した職業選択や能力開発を効果的に行う専門家です。キャリアコンサルタントは、企業の人事部門だけではなく、教育関連部門、大学のキャリアセンター、公的就業支援機関、人材紹介・人材派遣会社など、幅広い分野で必要とされています。

 

名称独占の資格となっており、資格を持っていないものは「キャリアコンサルタント」やそれに紛らわしい名前を用いてはならない、とされています。

 

また、資格は5年ごとの更新が必要とされており、更新のためには更新講習が必要となっているため、資格保持者の質は常に一定以上の水準が担保されています。

 

 

セルフ・キャリアドックを導入する際の課題

良いことばかりに聞こえるセルフ・キャリアドックですが、導入にあたっては様々な課題があります。

 

「現場管理職の理解」や「従業員の理解」を得る必要があるだけでなく、セルフキャリアドックを導入するにあたり「適切な担当者の選任」や「社内規定の整備」も必要になると考えられます。

 

また、自施設でセルフ・キャリアドックを導入するとなると「キャリアコンサルタントをどうやって確保するか?」という問題もあります。

手段として、

  • 社内キャリコン:自施設で雇う場合
  • 社外キャリコン:外注を行う場合

の2種類がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

 

また、セルフ・キャリアドックを最大限に生かすためには、「研修」と組み合わせることが重要です。

 

キャリアコンサルティングと「キャリア研修」や「スキルアップ研修」を有効に組み合わせることで、より組織の継続的な改善につなげることが可能です。

 

 

 

施設によって課題は様々で、対応策も柔軟にしていく必要がありますが、「セルフ・キャリアドック」は組織課題解決の糸口を見つけるための、最善の手段の一つだと考えれます。

 

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