喀痰吸引研修の概要や資格を取得することによるメリットとは?

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介護福祉士の仕事は、利用者さんの身の回りの介護業務が中心です。
介護士は、医療行為にあたる行為は基本的にしてはいけないことになっていました。
しかし、最近では喀痰吸引や経管栄養などの行為も実施できるように法の改正が行われています。

ここでは、喀痰吸引研修がどのようなことに役立つのか、喀痰吸引の業務を行うために必要なことや喀痰吸引研修の種類についてご説明します。
介護福祉士の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

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◇目次

喀痰吸引研修とは?

喀痰吸引の業務を行うために必要なこと

喀痰吸引研修の種類

喀痰吸引研修における研修内容について

まとめ


 

 

喀痰吸引研修とは?

喀痰吸引研修は、喀痰吸引を行える介護職員を養成するための研修です。
口腔内・鼻腔内・気管カニューレからの痰、唾液、鼻汁の吸引を行うのが、喀痰吸引です。
経管栄養では、胃ろう・腸ろう・経鼻から、チューブやカテーテルを使い胃や腸に栄養を直接注入します。

これらは医療行為にあたるため、以前は医師や看護師だけが行えることになっていました。
しかし、現在では喀痰吸引研修を修了することで、医師や看護師の連携のもと、介護士が痰の吸引や経管栄養が実施できるようになったのです。
喀痰吸引研修では、基本研修と実施研修を修了することで資格を得ることができます。

痰の吸引や経管栄養を介護士が行えることによって、多様な利用者さんに対応することができ、現場から必要とされる介護士になることができるでしょう。
また、実際に現場で使用される機材で演習ができることから、すぐに実践できる技術を身に付けることが可能です。

老人保健施設は、看護師が24時間常勤しているため喀痰吸引や経管栄養は基本的に看護師が行っています。
しかし、夜間に看護師がいない施設も多くあり、介護士が喀痰吸引をできるようになることは、非常にメリットが大きいのです。
喀痰吸引研修を修了している介護士は、採用される際にも有利になるでしょう。

 

どのように法律が変わったのか?

平成24年4月に喀痰吸引等制度が施行されるまでは、痰の吸引や経管栄養は医療行為として整理され、介護中に喀痰吸引が必要でも実施することは困難でした。

しかし法制化によって、介護福祉士及び一定の研修を受けた介護職員は、一定の条件の下で痰吸引などの行為を行うことができ、利用者や介護士をより安全な環境下に置くことができるようになったのです。

 

喀痰吸引の業務を行うために必要なこと

喀痰吸引を業務で行うためには、「個人の登録」と「事業所の登録」の申請登録が必要になります。

個人の登録を行うためには、認定特定行為従事者の認定登録の交付を受けるか、介護福祉士の登録が必要になります。
認定特定行為従事者認定証は、痰の吸引等に関する知識を修得するための研修を受けることで取得が可能です。

介護福祉士の登録は、介護福祉士国家試験の受験資格の確認と、介護福祉士の登録証に喀痰吸引等行為を付記申請する場合は、都道府県による原本証明が必要です。

また、事業所の登録を行うためには、医療関係者との連携、安全確保措置等を満たしている旨の登録申請が必要です。
登録事業者になることによって、たんの吸引等を業務として行うことができるようになります。

 

喀痰吸引研修の種類

喀痰吸引研修は、喀痰吸引を行える介護職員を養成する研修です。
喀痰吸引研修では、「第1号研修」「第2号研修」「第3号研修」の3種類があります。
喀痰吸引を行う対象者や喀痰吸引で実施できる行為が異なりますので、詳しくご紹介していきます。

 

1号研修

1号研修では、不特定多数の人に対して喀痰吸引を実施することが可能です。
実施できる内容は、口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引と、胃ろう、腸ろう、経鼻の経管栄養になります。
基本研修と実施研修を修了する必要があります。

 

2号研修

2号研修では不特定多数の人を対象に喀痰吸引を行えますが、実施できる内容が1号研修よりも少なくなります。
喀痰吸引は口腔内・鼻腔内のみ、経管栄養が胃ろうまたは腸ろうのみです。

 

3号研修

さらに3号研修では、対象が特定の人になります。
筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、高位頸髄損傷、遷延性意識障害、重症の心身障害を患っている療養患者、障がい者が実施対象です。

口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引と、胃ろうまたは腸ろう、経鼻からの経管栄養の中から、必要なものを選んで医療ケアを学び、それによって実施が可能になります。

 

喀痰吸引研修における研修内容について

喀痰吸引研修には、第1号から第3号までありますが、研修内容にはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、3種類ある研修の内容の違いについてご紹介します。

第3号研修の基本研修では、合計9時間の講習を受講します。
講義と演習の区別はありません。
実地研修においては、受講者が習得すべき知識や技能を修得したと医師等が認めるまで実施するため、実地研修に下限はありません。

また、第1号研修、第2研修の基本研修では同じ項目の講義と演習が行われます。
実地研修で「気管カニューレ内部の喀痰吸引」と「経鼻経管栄養」の項目が第2研修にはない点に違いがあります。

3号研修は費用が少なく、比較的修得しやすいでしょう。
訪問介護の事業所で働く人も多く受講しています。
2015年より、介護福祉士の資格取得の際に医療ケアを学ぶことが必須となり、喀痰吸引についても勉強することになっています。

そのため、2015年以降に介護福祉士資格を取得した人は、実地研修を受講するだけで喀痰吸引を行うことが可能です。

 

まとめ

ここでは、喀痰吸引研修についてご紹介してきました。
喀痰吸引は医療的な行為として看護師がいなければ行うことができませんでした。
しかし、喀痰吸引研修を受けることによって、介護士も喀痰吸引や経管栄養を行うことができるようになったのです。

以前であれば、介護中に利用者さんの吸引が必要な状況にあっても、介護士が吸引を行うことができませんでした。
しかし、生命に関わるような事態が発生した際には、やむを得ずやらなくてはならないという状況があったのも事実です。

しかし、平成28年度以降は介護福祉士の資格を受け、一定の研修を修了し、都道府県に登録が済んでいない状況で喀痰吸引を行うと「医師法違反」になってしまうため注意が必要です。

介護施設において、介護士が喀痰吸引や経管栄養を実践できるようになることで、利用者さんに必要な処置をスムーズに行えるようになりますし、看護師不足問題の解消にもつながります。
何より、正しい知識と資格をもって喀痰吸引や経管栄養を実施できることは、介護士を守ることにもつながります。

喀痰吸引研修を受けた介護士は、給与アップも可能ですし、転職の際に有利となることも大きなメリットになるでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。

 

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