サービス提供責任者(サ責)になるには?仕事内容や資格要件について解説
サービス提供責任者(サ責)は、介護サービスを行うにあたり、充実した介護サービスを提供するために重要な役職です。しかしサービス提供責任者(サ責)になるには、どのようなルートをたどればいいのでしょうか。今回はサービス提供責任者(サ責)のなり方や必要な資格などについて説明します。
◇目次
サービス提供責任者(サ責)とは?
サービス提供責任者(サ責)とは、介護サービスに携わるヘルパーやケアマネージャーを取りまとめ、適切な介護サービスの提供や向上に努める役職です。ヘルパーと利用者のスケジュール調整、またケアマネージャーが提示するプランに基づいて「訪問介護計画書」を作成し、ヘルパーへの指示や指導を行います。
また利用者本人や家族とのコミュニケーションも密に取り、立案した介護計画への了承や状況に応じて随時相談に乗ることも業務も含まれます。その他、介護サービスに関する会議や各種事務作業に加え、実際に現場に出向いて介護サービスを提供することもあります。
サービス提供責任者(サ責)の仕事内容
サービス提供責任者の仕事内容の一つに、訪問介護サービスの実施方法や手順を記載する、訪問介護計画書の作成があります。
介護計画書は、ケアマネージャーによって作成されたケアプランやサービス担当者会議の情報、家族との面談内容をもとに作成します。
また、介護サービスを充実させるため、介護スタッフのスケジュールを調整したり、研修会を開催したりするのもサービス提供責任者の仕事です。
サービス提供責任者は原則専従配置となりますが、介護業務を兼務している職場もあります。
ヘルパーが急に欠勤した際には、サービス提供責任者が業務のフォローに入ることもあります。ヘルパーへの技術指導や研修計画の作成など、ヘルパーのサポート業務もサービス提供責任者の仕事です。
サービス提供責任者(サ責)の1日のスケジュール例
サービス提供責任者の一般的な1日のスケジュールについてご紹介します。
8:45 出勤。朝礼前に書類整理や1日の業務内容の確認を行う。
9:00 朝礼。他のスタッフとスケジュールを共有する。
9:30訪問介護計画書などの書類の作成。さまざまな手続きの事務処理等を中心としたパソコン作業を行う。
訪問介護スタッフから利用者さんの異常連絡があった際は、利用者さんの自宅へ向かい体調確認等を行う。
12:00 昼食・休憩。
13:00 午前中に引き続き、書類作成などの事務作業を行う。
14:30 訪問介護サービスの提供を行う利用者さんの自宅を訪問し、ご本人や利用者さん家族からヒアリングを行う。
困っていることや、どのような介護を必要としているのか聞き取りを行い、訪問介護計画書を作成する。
16:00 ケアマネージャーへ報告と情報共有。午前、午後の訪問介護サービスの内容、
今後のサービス計画の変更などをケアマネージャーに報告し、情報を共有する。
16:45 介護スタッフに介護指導を行う。介護の対応方法などに困っているスタッフへの相談業務。
18:00 終業。
サービス提供責任者(サ責)という資格はない
サービス提供責任者(サ責)とは役職の名称であり、この名称の資格は存在していません。そのため、一定の条件を満たすことで役職に就くことは可能ですが、その条件には後述する資格や研修の修了、実務経験などが必要となります。この条件については2018年に見直しが行われているのですが、これはより高度で専門性に長けた人材をサービス提供責任者(サ責)に置くことが理由です。
たとえば、2018年以前はホームヘルパー2級の資格を取得していればサービス提供責任者になることができました。しかし、2013年にホームヘルパー2級は介護職員初任者研修(以下、初任者研修)と改められ、この研修を修了したうえで実務経験を540日以上積んでいることが条件となっています。
加えて、2012年まで存在していた介護職員基礎研修(以下、基礎研修)は廃止され、介護職員実務者研修(以下、実務者研修)と改められました。しかし、2012年までに基礎研修を修了している人も、サービス提供責任者(サ責)になることが認められます。
サービス提供責任者(サ責)になるには?
ここでは、サービス提供責任者(サ責)になるための条件についてさらに詳しく紹介します。
–介護福祉士資格を持っている
介護福祉士は国家資格であり、厚生労働省が定める養成機関を卒業した後、もしくは所定の実務経験・実務者研修を修了した後、年1回実施される国家試験に合格することで取得できます。サービス提供責任者になるためのルートとしては、もっとも時間のかかる方法といえるでしょう。
–実務者研修(もしくは基礎研修・ホームヘルパー1級取得)の修了
2013年に基礎研修およびホームヘルパー1級が実務者研修に統合されて以降は、この研修を450時間履修し修了すれば、実務経験なしでサービス提供責任者(サ責)になることができます。また前述のように、2012年以前に基礎研修を修了してホームヘルパー1級を取得していても条件は同じです。
–初任者研修(もしくはホームヘルパー2級取得)の修了および実務経験540時間以上
2013年にホームヘルパー2級が初任者研修と改められ、これを修了した場合には実務経験540時間以上でサービス提供責任者(サ責)となることが認められています。また2012年以前にホームヘルパー2級を取得している場合も条件となる実務経験は同じです。
サービス提供責任者(サ責)になるための最短ルート
いくつかのルートがあるサービス提供責任者(サ責)への道ですが、無資格の状態から最短となるルートを解説します。
–最短ルートは実務者研修の修了
実務者研修を修了することで、実務経験が免除されます。実務者研修は基本的に450時間のカリキュラムに加えて医療的ケア演習を履修が必要です。研修は20科目の履修が必要となり、介護についての基本や応用に加え、人間と社会、こころとからだのしくみといった介護に関連するカテゴリーが設けられています。
–基礎研修修了者およびホームヘルパー1級取得者は研修時間の免除も
すでに、基礎研修を修了している場合やホームヘルパー1級を取得している人は、そのままサービス提供責任者(サ責)になることが可能です。しかしあえて実務者研修を受けることもでき、その場合は研修時間が免除されます。基礎研修修了者は50時間、ホームヘルパー1級取得者は95時間が免除されるのです。ただし、基礎研修およびホームヘルパー1級取得までの時間を加味すると、やはり無資格から実務者研修を修了するのが最短ルートとなると考えられます。
サービス提供責任者(サ責)になるためのその他のルート
ここでは実務者研修の修了や前述で紹介した方法のほかにもどのようなルートがあるか紹介します。
–介護福祉士の資格を取るためのルート
介護福祉士の資格を取るためには、所定の養成機関を卒業するほかにもルートがあります。1つは、無資格の状態で社会人として実務経験からスタートする方法です。介護施設での実務経験を3年以上積んだ後、実務者研修を修了することで介護福祉士の受験資格(実技試験免除)が与えられます。
また、福祉系の高校に2008年度以前に入学した高卒者で介護技術実習を修了した人、および2009年以降に福祉系高校に入学した高卒者も、介護福祉士試験(実技試験免除)で受けることが可能です。ちなみに、2009年以降に特例高校に入学した人は、卒業後に実務経験を9ヵ月以上積めば、試験(実技試験あり)を受けることができます。
–看護師・保健師の資格所有者
資格や研修修了者のほかにも、看護師や保健師の国家資格を取得した人もサービス提供責任者(サ責)として業務に従事することができます。
まとめ
サービス提供責任者(サ責)の業務は、施設の介護計画のリードから現場業務まで幅広いため、介護に関するより専門的な知識や技術が求められます。そのため長い期間が必要と思われがちですが、実務者研修を受けることによって、実務経験がなくてもサービス提供責任者(サ責)になることが可能です。研修では介護に関する幅広い知識を得ることもできるため、これから介護施設のサービス提供責任者を目指す人は、ぜひ参考にしてください。
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