『特定処遇改善加算』で介護職員の待遇は良くなるの?

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『特定処遇改善加算』で介護職員の待遇は良くなるの?!

 

「勤続10年以上の介護福祉士の給与が8万円アップする!? 」

「介護福祉士の年収が440万円以上になる!?」

「収入が上がるのは介護福祉士をもっている介護職員だけ!?」

2019年10月1日よりスタートした『特定処遇改善加算』はご存じですか?
具体的にどのような内容なのか気になりますよね。

 

以前より「勤続10年以上の介護福祉士の給与が8万円アップするのかどうか」・「介護福祉士の年収が440万円以上になる!?」
という言葉がでていますが、こちらは配分ルールで表現されておりますが、全員が対象となっていないことと企業の大きさによって内容を変えることができます。
結果、必ずしも一律給与アップはしません。

また、「収入が上がるのは介護福祉士をもっている介護職員だけ!?」ですが、
介護福祉士を持っていなくても収入が上がる場合があります。

 

期待していた方は、残念に感じているかもしれません。
しかし、経験・技能のある介護職員に対し、さらなる処遇改善を図るという新しい処遇改善が今までの処遇改善とは別にスタートしたことには間違いありません。

介護職員等特定処遇改善加算(以下、特定処遇改善加算と記載する)が、
令和元年10月よりスタートしました。(支給は12月以降)

 

今回は、その「特定処遇改善加算」で介護職の待遇は良くなるのか、わかりやすく簡単に解説していきます。

1.介護職員等特定処遇改善加算とは
2.介護職員等特定処遇改善加算の背景
3.介護職員等特定処遇改善加算を算定方法

 

4.『特定処遇改善加算』対象求人はこちら

 


1. 介護職員等特定処遇改善加算とは


特定処遇改善加算とは何か、一言でいうと、

従来の処遇改善加算とは別に、キャリア(経験・技能)のある介護職員に対し、更なる処遇改善を行うというものです。

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職場(事業所単位)で最低1人以上、経験、技能のある介護福祉士の賃金を月額8万円以上アップさせるか、年収440万円以上にするというルールになっています。

 

事業所が処遇改善加算の申請を都道府県に行い、事業所が処遇改善加算として受け取ったお金を介護職員に処遇改善手当として配分するという流れになります。

 

 


2. 特定処遇改善加算の背景


皆さんもご存じのとおり、介護職員の人材不足は社会的な課題となっています。

平成12年の介護保険法の施行以来、要介護(支援)認定者は増加し、サービス量の増加に伴い介護職員数も増加しています。

しかし、今後さらなるサービス量の増加が見込まれ、2025年度末までに介護人材の需要が約245万人にも上ると言われています。

 

現状、介護分野の有効求人倍率は、4.33(全分野の有効求人倍率は1.41)と依然として高い水準にあります。
また、これには地域差があり、岩手県における平成31年7月の介護分野の有効求人倍率は2.74(全分野の有効求人倍率1.28)となっており、岩手県全分野の2.14倍になります。

 

介護労働安定センター行った実態調査からも、介護職員の人材不足の原因として「採用が困難である」と回答する事業所が大半であることが分かっています。

苦労して採用をしても定着せず、退職してしますケースも少なくない状況です。

職員の退職理由としては、「人間関係」「法人・事業所の理念や運営のあり方」に対する不満が挙げられるとともに、「収入が少ない」
という理由を挙げる割合が一定数いることが分かっています。

実際に、看護師や介護支援専門員等の同産業の他職種と比較すると、介護職員の給与は低く、勤続年数も産業全体で10.7年に対し、
介護職員は6.4年
と勤続年数も短い
という現状があります。

 

そこで、国が新しい経済政策として、介護職員の更なる処遇改善が施行されることになりました。

 

2009年から介護従事者の人材確保・処遇改善が行われてきましたが、
介護人材確保のための取り組みをより一層進めるべく、経験・技能のある職員に重点化を図りながら、
介護職員の更なる処遇改善を進めるために「特定処遇改善加算」が行われることになりました。

 

 


3. 特定処遇改善加算の算定方法


(1) 算定要件

・現行の処遇改善加算区分Ⅰ~Ⅲのいずれかを算定していること。
・職場環境要件について、「資質の向上」、「労働環境・処遇の改善」、「その他」の区分で、それぞれ1つ以上取り組んでいること
・賃上げ以外の処遇改善の取組をホームページへの掲載等を通じた見える化を行っていること

 

上記の要件を満たしている事業所は加算の届出を行うことができます。
ご覧いただければお分かりいただけると思いますが、ほとんどの事業所が算定要件を満たしています。
ハードルはそれほど高くなさそうです。

勤続10年以上の介護福祉士がいなくても大丈夫です。

ただし、下記のサービスは対象外です。
・訪問看護
・訪問リハビリテーション、
・福祉用具貸与
・特定福祉用具販売
・居宅療養管理指導
・居宅介護支援
・介護予防支援

 

(2) 加算率・加算見込額について

特定処遇改善加算区分には、ⅠとⅡの2区分があります。
加算率はⅠの方が高くⅡの方が低くなっています。

 

サービス提供体制強化加算等の最も上位の区分を算定している場合「特定処遇改善加算Ⅰ」の算定が可能です。

 

それ以外は、加算Ⅱとなります。

 

よって、多くの事業所はⅡを算定することになりそうです。

 

また、サービス区分によって、加算率は異なります。
詳しくは下記の表をご覧ください。

 

■加算率

画像5-1

(出典:2019年度介護報酬改定について~介護人材の更なる処遇改善(2019年7月10日厚生労働省老健局)

 

■加算見込額

加算見込額は下記の計算式によって、計算できます。

見込額

 

(3) 賃上げのルールについて

特定処遇改善加算を算定する事業所は一定のルールのもと介護職員の賃上げを行う必要があります。

まずは、すべての職員を以下のABCに分類します。

 

A:経験・技能のある介護職員
B:A以外の介護職員
C:その他の職種の職員(役職者を除く年収440万円以上の者は対象外)

Aに分類する要件として、介護福祉士であることは必須です。
しかし、必ずしも勤続10年以上である必要はありません。

 

その次に、「A」「B」「C」どの職員範囲で配分するかを決めます。
「A」だけに配分することも可能です。
ただし、以下の2つの要件を満たしている必要があります。

 

①「A:経験・技能のある介護職員」のうち1人以上は、月額8万円の賃上げまたは年収440万円(手当等を含む)までの
賃金増が行われていること。

 

②平均の処遇改善額が、
・AはBの2倍以上とすること
・CはBの2分の1を上回らないこと

 

まとめると下記のようになります。

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この制度は2019年10月よりスタートします。

また、介護報酬の支払いは2カ月後からになりますので、給与に反映されるのも2019年12月以降になるケースが多いです。

 

今後この『特定処遇改善加算』により、更なる給与アップが期待できそうですね。

 

 

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