介護職・介護福祉士の残業の実態
介護職や介護福祉士の仕事は、人の役に立つことができる仕事として人気があります。しかし、介護職や介護福祉士は人手が不足していることから、大変そうなイメージをもっている人も少なくないでしょう。介護職や介護福祉士として働きたいけれども、現状はどうなの?と気になる方のために、介護職や介護福祉士の残業の実態についてご紹介します。
◇目次
介護職員・介護福祉士の残業時間の実態
介護職員や介護福祉士は、身体的に援助が必要な人が自立した生活を送れるよう支援することが仕事です。介護施設は365日24時間稼働しているため、介護職員や介護福祉士は残業が多いと言われています。ここでは、介護職員や介護福祉士の平均残業時間や、残業が生じる背景について解説していきます。
–平均残業時間
介護職員や介護福祉士の平均残業時間は、正規職員で10.2時間、非正規職員で3.7時間となっています。介護職全体では平均8.2時間です。これは、全国労働組合総連合の「介護労働実態調査報告書」(※)によるものです。求人情報にも残業時間が記載されているため、参考にするとよいでしょう。
※全国労働組合総連合「介護労働実態調査報告書」
https://www.zenroren.gr.jp/jp/kurashi/data/2019/190424_03.pdf
非正規職員は残業がない職場が多いようですが、正規職員は1ヶ月10~20時間程度の残業が発生しています。最近では、介護職員の人手不足が深刻なため、年々残業が多くなっている傾向にあるようです。
求人情報では「残業なし」と書いてあったけれども、サービス残業が頻回に発生しているという職場もありますから注意しましょう。
–残業が生じる背景
介護職員や介護福祉士は、生活の支援が仕事の中心になります。24時間介護を必要とする方もいるため、夜勤や早番、遅番のローテーションで勤務体制を敷いている場合が多くあります。引き継ぎの際に、各勤務帯の仕事が終わっていない場合は、残業をして仕事を終わらせなければなりません。日常生活をお世話する介護の仕事は、終わりがないため残業になりやすいのです。
また、身体機能が低下している方や、基礎疾患がある高齢者が相手の仕事ですから、急変などのイレギュラーな事態が起こることもあります。感染症が流行した場合には隔離が必要になりますし、感染症対策として各部屋の消毒など業務が増え、残業が発生するのです。
介護の入所施設やデイサービスでは、利用者さんに楽しんでもらうためイベントが行われます。イベントの準備や後片付けなど、日常的な業務に追加して行われるため、残業が増える要因の一つになっています。
日々の業務だけでも激務なのに、こういったイレギュラーな事態も起こるため、退職する人も多いのが現状です。それによって人手不足から一人当たりの負担が多くなり、さらに残業が発生するという負の連鎖が起こりやすくなります。さらに、介護業務以外にカルテ入力や衣類チェック、手書きの書類など雑務が多いのも残業が発生する要因となっています。
介護職員・介護福祉士の残業代は出てる?
残業代は、法定時間外勤務の場合は1.25の割り増し率、法定休日勤務の場合は1.35の割り増し率を掛けて計算するため、残業が多いほど月収は高くなります。介護職員は給与が安いため、残業が多い職場は給与アップにつながり、収入を増やしたい人にとっては好都合な場合もあるでしょう。
労働基準法では、1日8時間、週40時間以内が法定労働時間と定められています。それを超える場合は、残業代として給与が支払われます。しかし実際にはサービス残業も多く、30分から1時間程度のサービス残業は日常的になっている職場も多いようです。
勿論、1分単位でしっかりと残業代が支給される職場もあるため、働きやすい職場に就職するには介護業界に詳しい知り合いに相談するのがオススメです。
求人情報に載っている残業時間とは、全く異なっているというケースもあります。あまりにサービス残業が多い場合や、サービス残業が強制されるなど悪質な場合は、口コミサイトに書かれていることもありますので、事前に書き込みなどないか調べておくと良いかもしれません。
介護職員・介護福祉士の残業が少ない職場を選ぶには?
高収入を希望する方にとって残業のある職場は苦にならないかもしれませんが、育児と両立させたい場合などはできるだけ残業が少ない職場が好ましいでしょう。残業が少ない職場を選ぶためには、どうしたらよいのでしょうか。
残業が多い職場の大きな特徴は人手不足です。人手不足か確認するためには、面接をする前に職場見学をさせてもらうとよいでしょう。スタッフの働いている姿から、余裕をもって働いているか、業務に追われて必死そうか、雰囲気で感じることができます。
また、施設内の清掃状態や、整理整頓ができているかなども、人手不足かどうかを見極める判断材料となります。残業が発生しないよう、施設の委員会や勉強会を勤務時間内で開催している職場も残業は少ないでしょう。残業が発生しないよう業務改善を積極的に行っている職場かどうかも、判断する基準となります。
求人情報には残業時間の目安が記載されていますが、サービス残業が多い場合などは求人情報に記載されていません。実際の様子をみて判断すると失敗が少ないでしょう。
まとめ
介護職員や介護福祉士の仕事は、人の役に立つことができる、やりがいのある仕事です。ここでは、介護職員や介護福祉士の職場の残業について詳しくご紹介してきました。
高収入を得たい人にとっては、残業の多い職場でも働きづらさを感じることはないかもしれません。しかし、育児や介護と両立したい方にとっては、残業はできるだけ避けたいものです。ここでは、残業が少ない職場の選び方などもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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